実績紹介イベントレポート

4. Social Transformation

最後に、これまで議論してきたテーマ(BX/DX/AX)を通じて社会をより良い方向に変えていく(ソーシャルトランスフォーメーション:SX)について、先進的な取り組みを行う登壇者3名と議論した。

登壇者
  • DXYZ株式会社/プロパティエージェント株式会社 代表取締役社長 中西 聖氏
  • 一般社団法人Public Meets Innovation 代表理事 石山 アンジュ氏
  • 株式会社ボーダレス・ジャパン 代表取締役副社長 鈴木 雅剛氏
  • 株式会社INDUSTRIAL-X 代表取締役社長 八子 知礼(ファシリテーター)

社会変革事業に着目したきっかけ

ファシリテーターのINDUSTRIAL-X 八子氏はまず、「なぜ社会変革ビジネスに着目したのか」と問いかけた。これに対し、プロパティエージェントの中西氏は、「自分はビジョナリーカンパニーを読んで起業した。一見不動産とは無関係に思える顔認証プラットフォームビジネスも、人の生活に存在する"境目"の面倒を払拭するサービス」と語る。たしかに、朝電車に乗るとき、オフィスに入室するとき、レストランで支払いをするとき、家に帰ったとき、それぞれの場で異なるカードや鍵(認証)が必要となる…こうした行動が顔認証でシームレスにつながることで、生活様式は大きく変化することが想像できる。

ボーダレス・ジャパンの鈴木氏は「過去の経験から、社会課題事業は(それじたいで)お金が回らないとインパクトが出ないことを痛感した。社会課題を解決していくには、ビジネスのバリューチェーンの中に課題を巻き込んでいくモデルが必要と考えた」と説明した。

石山氏はシェアリングビジネスに着目した背景について「株式会社である限り利益優先で戦略が組まれ、後回しにされてしまう課題があることに着目した。社会変革の恩恵を誰もが安心安全に享受できる社会にしたい、と思い業界団体という形態を選んだ」と話した。

ストーリーで共感を呼ぶ。無理強いはせず、ときには待つことも大事。

続いて八子氏は「推進していく上でこれまで直面した課題と、どう乗り越えたのか」を尋ねた。それに対し、多くのしがらみが残る議員を相手に石山氏は「シェアリングエコノミーにどう共感してもらい、応援してもらうのかという課題があった。今の社会にシェアという考えがどう価値があるのか、ストーリーで戦略的に訴えた。」と感情に訴えかけた例を紹介した。

中西氏は「顔認証には賛否両論あり、なおかつ、プライバシーとセキュリティの問題がある。無条件に顔認証が怖いと感じて反対する人がいるうちは、無理に事業を推し進めても失敗するので、長期的なスパンでビジネスを進めていく戦略に切り替えた。またプライバシーとセキュリティについては、他国の対策も参考にしながら検討していきたい。」と説明した。

鈴木氏は「創業当時、"社会課題を解決するビジネス"と聞いてピンとくる人は少なかった。そのため、バリューチェーン全てを自前で整え完成したモデルを他社が真似してくれる時代まで走り抜く、と決めてやってきた。ようやくソーシャルビジネスという言葉が浸透してきた」と当時の困難を振り返った。また、リソースの限界を感じたボーダレス・ジャパンは、ソーシャルビジネスに挑戦する人が集まりノウハウやリソースをシェアできるエコシステム形成に現在力を入れており、社会起業家を支える仕組み作りを行なっている。

1社では実現できない。ノウハウやリソース、ビジョンをシェアする時代。

こうしてみると、地域や企業が保有するリソース、人材、ノウハウなどをシェア(クロス)する意識が社会変革においても重要であることがわかる。ここで八子氏は「企業や人の繋がり、協業、交流」についてどのような視点が求められるか登壇者に投げかけた。

中西氏は「我々がやろうとしていることは、1社では実現できない。日本企業によるプラットフォームを作り、顧客の囲い込みをすることで世界のGAFAに対抗していく必要がある。今の時代はスマホがあり、業種を超えて連携が可能。シナジーは生み出しやすい環境」だと話した。

鈴木氏は「人間は自由を求めてきたかわりに繋がりが薄くなっていった。今大事なのは何を理想として歩むかというビジョンの共有。また、ヒエラルキーがなくなり、フラットな関係性が今後築かれていくと思う。そこでは個人の持ち味をどう活かすかという観点が大切」と説明する。

今後の挑戦。テクノロジーや教育によって生まれる、新しい価値。

八子氏は最後に、今後どのような社会変革に挑戦していきたいかを問いかけた。
中西氏は「テクノロジーにより、人はクリエイティブなことに時間を割けるようになる。プロパティエージェントは不動産の観点から都会も田舎もスマート化させ、人の可処分時間を生み出していきたい。」と語った。

石山氏は「新しい形の"組合"を作りたい。資本主義は格差を広げ、ユーザーが意思決定に携わることはできないため民主主義とはいえない。一方で組合は、一緒にお金を稼ぐこともでき、ガバナンスにおいて1人1票を持つことができる。EUでも組合型プラットフォームが出てきているので、日本でもテクノロジーと組み合わせることで、組合型ソーシャルビジネスを生み出していきたい」とコメントした。

鈴木氏は「ボーダレスグループは社会起業家を子会社として輩出してきたが、自分たちがもつリソースには限界がある。今後は資本関係がなくても社会起業家がチャレンジでき、失敗してもまた再チャレンジできるエコシステムの形成をしていきたい」と語り、来年ローンチ予定のサービスがあることを示唆した。
また、長期的な目線での教育の重要性にも触れ、「標準化された教育ではなく1人ひとりが自分の生き様を考えるような仕組みが必要。自立して自己決定を行い、お互い助け合える社会にしたい。」と語る。(鈴木氏)

八子氏は最後に「登壇者のお話を聞いて共通する点は、社会課題に対して今までより視座を上げて向き合っていること、一社だけではなく周囲をどう巻き込むのか、そして"個"にも手を差し伸べながら、先読みしながら動こうとしていること。今後も様々な社会課題に対する官・民の取り組みや、グローバルな取り組みが生まれてくることに期待したい」とまとめた。

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